パクリとオマージュとリスペクトと剽窃と猿真似と二次創作の間に。

うちの社長は、ゲーム企画書の作成を命ずるにあたって「既存の売れ線の作品に準じたジャンルのもの」をよく要求する。

確かに、完全なオリジナリティの塊と言うものはえてしてユーザーに敬遠されがちなものだ。エロゲーというやや特殊な産業であるならばなおさら……AVなどでもあまりオリジナリティ溢れるモノというのが見当たらないし、そういうものなのだろうと最近は割り切ることができた。


話を変えて、迷走の度合いを一週間ごとに拡大している感のあるSEED。

問題なのは、「これこそ種オリジナル、21世紀の新しいガンダムの名に相応しいオリジナリティだ」という画期的な「何か」がないことだろうか。
自分でも難しい事を言っていると思う。「今まで誰も手をつけたことの無い新しい表現や演出」など、今の世界に果たして存在するのか。自分だってリファインでは堅実極まりない表現しかしていない。「冒険」とは「危険を冒す」という意味だからだ。今後ストーリーが進んで「F」と「J」が登場したときの読者の反応が今から怖いくらいだ。


しかし、旧来のガンダムファン……ぶっちゃけて言うとガノタの面々から見て一発で元ネタが分かるようなのはどうなのだろうと思う。せめてモビルスーツの名前くらいはオリジナルで行って欲しかったし、台詞に関しても同様。ああいう台詞回しを「トミノ調」といってあちこちのアニメで「あ、この台詞トミノ調だな」と感じる事はある。だが種のは「そのまんま」だ。捻りも何もあったもんじゃない。まさに「知っている人には分かる」楽屋落ちだ。しかも(個人的な推測だが)旧来のガンダムが好きな面々はえてしてSEEDに批判的なため、「あの台詞は○○のパクリじゃねえか」と騒がれるだけの結果に終わる。「あぁ、あの台詞は○○と重ねてあるんだ。なるほどなあ。ガンダムファンへのサービスだなぁ」と感じるのではなく「種ごときが俺の心酔する○○の台詞をパクリやがって。許せねえ」となってしまうのだ。

ある意味、可哀想といえばそうなのかもしれない。だが初代種におけるストーリーの練りこみの甘さ、監督や脚本に関するマイナスイメージの噂などが積もり積もってこうなったと考える事もできる。自業自得なのかもしれない。

何十年もかけて育て上げてきた巨大な「ガンダム」というドル箱を、一時の流行に流されて自ら失ってしまうというのはあまりに勿体無いと思うのは、僕だけなのだろうか。